技術解説

システムの刷新・運用を担う情報システム担当者向け

納品後の保守、どこまで含まれる?不具合・改修・環境変更の切り分け方

本番稼働後に「これも保守ですか?」となりやすいのが、不具合修正・機能追加・環境や設定の変更です。契約前に揃える保守の範囲と、別見積になる典型を発注側視点で図解しました。

技術解説

納品後保守の 範囲を切り分ける

不具合・改修・環境を先に分ける

保守契約は「何でも直す」約束ではありません。仕様どおりの不具合、機能追加、環境変更を分けて書くと、稼働後の期待値ズレが減ります。

この記事でわかること

  • 保守に入りやすいものと別見積になりやすいものがわかる
  • 契約前に確認する切り分けの観点が整理できる
  • 開発プロセス・障害時SLAの記事へつなげる

執筆

藤原 寿暉斗

CTO

技術全般を統括。Webシステム開発からRAG・LLM統合まで、先端技術を実務に落とし込むアーキテクチャ設計を担う。

保守は「何でも対応」ではなく、入る/入らないの境界

業務システムの納品後、現場から来る依頼は混ざりやすいです。「画面が仕様と違う」「項目を増やしたい」「クラウドの設定を変えたい」は、見た目は近い依頼でも、契約上の扱いが違います。境界が書面にないと、対応速度と費用の期待がすれ違います。

本記事は、納品後保守の範囲の切り分けに絞ります。障害時の連絡・復旧の最小セットは関連コラムを参照してください。主CTAは開発の進め方です。

境界が曖昧 / 境界がある

曖昧なまま

全部保守と思い込む
都度でもめる
優先が決まらない

切り分けがある

不具合と改修が分かれる
範囲外は見積と分かる
窓口と優先が使える

不具合修正・機能追加・環境/設定変更の3つに分ける

依頼を受けるとき、まず次の3分類に置くと会話が早いです。分類は社内のチケット項目でも、発注側の依頼テンプレでも構いません。

保守範囲の3分類

環境・設定・外部要因

クラウド設定、外部API変更、証明書更新など

機能追加・改善要望

新しい項目、画面、帳票、連携(別見積が多い)

仕様どおりの不具合

合意仕様との不一致、再現手順がある不具合

  • 「合意した仕様」の参照先(仕様書・受入条件)が分かるか
  • 機能追加の依頼経路と、見積の要否が書かれているか
  • 外部サービス変更時の調査・改修の扱いが触れているか
  • 受付時間・窓口・優先度の置き場があるか(詳細はSLA記事)

入りやすい例と、別見積になりやすい例を並べる

契約書の文言は案件ごとに異なりますが、発注前の質問としては「次の例は保守内か」を具体で聞くと比較しやすいです。抽象的な「運用支援」だけでは境界が残りません。

切り分けの例(一般的な傾向)

保守に入りやすい

  • 仕様不一致の修正
  • 合意した軽微な設定支援
  • 障害の初動・切り分け

別見積になりやすい

  • 新機能・項目追加
  • 大規模な画面改修
  • 他社システム新規連携

契約前に、保守の1枚要約を添付する

開発の見積と別に、保守の1枚(対象システム、窓口、入るもの/入らないもの、別見積の例、更新のタイミング)があると、稟議と現場の期待が揃います。段階導入の第1段階が小さいほど、保守の境界も書きやすいです。

契約前の短い確認
  1. 01

    対象を書く

    どのシステム・環境か

  2. 02

    3分類を置く

    不具合/追加/環境

  3. 03

    例を並べる

    入る・入らないを具体で

  4. 04

    窓口を決める

    連絡と優先の置き場

よくある質問

障害時のSLA記事との違いは?

SLA記事は、止まったときの連絡・初動・復旧の約束に焦点があります。本記事は、稼働後の依頼が「保守内か別見積か」を切る範囲の話です。両方揃えると運用の期待値が合いやすいです。

仕様どおり動かない不具合は保守に入りますか?

合意した仕様との不一致は、契約で保守または保証期間の対象になることが多いです。一方、新しい要望や「あったら便利」は機能追加として別見積になるのが一般的です。契約文言の確認が必要です。

クラウドや外部サービスの値上げ・仕様変更は?

提供元の変更はベンダー単体で止められないことが多いです。影響調査・設定変更・改修の扱いを、保守に含むか都度見積かを事前に決めておくと安心です。

保守なしで納品だけでもよいですか?

可能ですが、障害時の窓口と小改修の依頼先が空になります。最低限、連絡経路と「範囲外は見積」だけでも決めておくと、本番後の混乱が減ります。

THE FUTURE OF JAPAN.
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